あくまで個人の感想であり,私の試聴環境という様々な制約下での結果であることをご理解ください.試聴楽曲はいずれも自身が聴き慣れたものばかりです.比較の対象とできるものが少ないため,限られた条件下のみでの感想となります.また,表現力が乏しいので上手くお伝えできないところもありますがどうかご了承願います.但し,あまりにも漠然とした表現のみでは参考にすらなりませんし,それではレポートの意味がありませんので私なりの判断で以下のような項目に分けて可能な限り明確にしてみました.当然ながらスピーカーのみならず機器の性能やセッティングに左右される部分は大きいと思いますので,また,何よりも音の評価には多分に好みの違いが出てきますのでその辺りも踏まえご参考になれば幸いです.

使用ユニットは,Tangband W4-1337SDF 10cmフルレンジです.コントロールは6SN7GT,パワーはVT4Cシングル.

音源はより多くの音を効率良く聴きたかったので,デジタルプレーヤーとFET差動バッファー式USB-DAC(アンバランス接続;ぺるけ氏の記事を参考に自作).

1 第一印象
「綺麗」,「クリア」,「解像度が高い」ビックリするくらい元気良く鳴っています.

2 定位
センター定位は問題無し.前後左右の立体感も感じられる.
従って,間接的にはなりますが,機器の性能とセッティングは大方OKとし,以降のチェックに進みます.

3 ボーカルの印象
 息継ぎの生々しさがリアルに感じた.Ella and Louisのデュエットでは二人のやり取りが伝わって来たかのように感じた.

4 解像感
情報量が多いとされる音源「TIME OUT」を聴いてみた.音の広がりや空間がよく感じられた.正直言って,10cmフルレンジでここまで再生できるとは驚きです.小編成の管弦楽では,管楽器特有のかすれたような音の出だしがよりリアルに伝わってきました.若干高域が華やか.ハイ上がりぎみ.これはユニットの特徴でしょうか.解像度が高いと勘違いされやすい部分ですが.ロン・カーターのアコースティックベースを聴いてもその明瞭な空間が伝わってきます.低域の再生能力の高さが感じられました.決して低域が強調されているという意味ではありません.どちらかというと低域は抑え気味のようにも感じました.

5 S/N感,歪感
 楽器がよく分離している.これが透明感と感じさせるのでしょうか.若干ハイ上がりぎみのところが感じられますがキツさは無くうるさく感じません.ピアノ,バイオリン,トランペット,チェンバロが“らしく”聞こえます.チェンバロの多重奏が大好きで,スカルラッティのソナタをよく聴きます.一歩間違うとシャリシャリと耳障りになりがちですが,非常に気持ちよく聴いていられます.個人的には特筆したい部分です.バロック専用システムにしてもよいと思いました.

6 ダイナミックレンジ
 どちらかというとアンプ性能への依存が大きい部分かと思いますが,10cmフルレンジがよく鳴っているな,と感心します.音量を上げてもうるさく感じません.
 強弱の迫力に欠けるのは致し方ないところかと思いますが,ユニットによってはまた違った印象が感じられるのではないでしょうか.

7 スピード感
RD-17の特徴とされている「音の粒立ちが良い」という表現はなるほどと納得しました.弦楽器を聴くとよく判りますが,弦を弾く時の強弱が気持ちよく伝わってきました.

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8 周波数特性の測定
単なる傾向を掴む目的でWaveSpectraとWavegeneを使って測定してみました.
マイクのセッティングは,ユニットの軸上約10cm.機材は以下の通り.
・PC(Windows10) ・マイク+マイクアンプ(自作) ・マイクアンプ用電池(006P)
・USB DAC(再生用) ・三脚(写真参照)

先ず,ループバックで周波数特性を確認.
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RD-17 サインスイープ
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若干ハイ上がりぎみと感じた通りではないでしょうか.でもほぼ全域にわたってフラット?と言えなくはないですよね.ちょっと綺麗過ぎる?データですね.ハイ上がりはユニットのデータシートも同様でした.

RD-17 ピンクノイズ
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ピンクノイズでの測定結果.同様な特性が捉えられました.

 ついでに随分と古いものになりますが,テレビ用に使っていたS-55TSDを測定してみました.RD-17の後に聴くと籠った感じがより明確に.

ブックシェルフ型(14cmツインウーファー,2.5cmドームトゥイーター)
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見事に中高域で落ち込んでいました.

9 総合的な感想
 RD-17キットの製作から音出しまでを終えての感想です.先ず製作に関しては,シェルが半完成品であったこともあり,購入者の技量に左右される難しさは無いと思われます.誰もが高い完成度を得られるのではないでしょうか.
 さらに,同Boxはメーカー製のキットを凌ぐ高い精度で作られていることに驚きました.だからなおさらスタンドの作りが貧弱に見えてしまいます.あくまで見た目の話です.薄い合板という材質だから仕方のないことですし,だからといって最適と言われるような材料を使えば当然コストアップになりますしね.
 また,スタンドの形状の違いによる音の変化など,私自身は多くを経験しているわけではありませんので詳しいことは判りませんが,今後いろいろな形を試される方が増えるといいですね.
 さて,スピーカーとしての印象は改めて言うまでもなく,「素晴らしい」の一言です.この音がココから出ているの?
 といった驚きを感じました.市販の17Lクラスのエンクロージャーキットは非常にお手軽ですし,多くの方が体験されているかと思います.しかしながら,RD-17は“別物”と思った方がいいですね.例えば6~8畳で,あまり大きな出力を要さないのであれば十分にメインシステムとして使えます.RD-17は,キットならびに無塗装完成品ともにヤフーオークションのみでの販売となっておりますが,もしこれが市販されたとしたならば,量産によるコストダウンが図られたとしても現在のオークション価格を下回ることはないのでは,と想像できます(もっともオークション価格には開発費などは含まれてないと思いますので格安です).
 ましてや塗装済み完成品となれば,17Lという小型スピーカー枠でも価格帯は中級クラス以上になりそうな気がします.

 どんな音が出ようが,どんな特性データを示されようが,結局は聴く人の好みが大部分を占めることになりますが,総じて本機は画期的なスピーカーシステムと言えるのではないでしょうか.サブバッフルを備えていることで,様々なユニットを試すことができるのも,市販のキットには無い魅力と言えるでしょう.
 本来,エンクロージャーキットとは,気軽に自分好みに改造が出来る,という魅力を楽しむものだと思います.もちろん本RD-17にもそんな魅力が十分備わっておりますが,差し当たって私の場合,このクラスとしては特に不満を感じていません.
その他のユニットが入手できればそれらを試すことは今後の楽しみですね.

 かれこれ25年近く使っている4344と聴き比べてみました.全くの別物ですから,そもそも比較すること自体論外ですけどね.ただ比較して判ったことは,ずばりRD-17のポテンシャルの高さ,これには驚かされました.4344と並び今後も長く使い続けられるシステムが一つ増えました.

[お礼]
 Fさん。詳細なレポートを頂きありがとうございました。指摘された点に関しては、
検討を加え商品の完成度を高めたいと考えます。